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学術会議をこう見る④『国費で圧力団体を養成するな』【資料・赤い巨塔(1970年) 】

資料データ
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国費で圧力団体を養成するな

京都教育大学助教授(1970年当時) 小森義峯

小森義峯 - Wikipedia

日本学術会議は、昭和二三年七月に制定公布された日本学術会議法に基き、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立ち」(前文)「わが国の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業および国民生活に科学を反映浸透させることを目的」(第二条)として設立されたものであるが、三年毎の選挙のたびに、おしなべてどの専門分野においても、漸次良識派の会員が影をひそめ、代りに左翼勢力が進出して、それら左翼勢力が学術会議をリードしつつあるというのがいつわらざる現情であろう。何を証拠にして、左翼勢力の浸透といい、リードというか。それは会員の顔ぶれと総会毎に決議されている多くの声明や政府への勧告を見れば一目瞭然である。私は、この四月に行われた京都府知事選挙の前に、四月二日付目黒局の消印で、東京在住の見知らぬ人から、「わたしたち東京に在住する教育・学術関係者として府知事選挙の帰趨には深い関心をはらわざるをえません」「ニナ川民主府政の躍進ために(中略)よろしくお願いします」と書いてある封書を受取ったが、その差出人の名前が日本学術会議会員の肩書を付した福島要一氏と日本教育学会常任理事の肩書を付した矢川徳光氏であった。これは、左翼学者がいかに肩書を利用するかの一例を示しているとともに、日本学術会議の左傾化の実体を垣間見せているものといえよう。

「科学者の代表機関」である学術会議の権限は、日本学術会議法第三条ないし第五条が定めている通り、まず本来の職務としては、科学に関する重要事項の審議や科学に関する研究の連絡に限られており(第三条)、政府に勧告しうる場合でも、(1)科学の振興及び技術の発達、(2)科学に関する研究成果の活用、(3)科学研究者の養成等に関する方策や(4)科学を行政に反映させる方策、(5)科学を産業及び国民生活に浸透させる方策に限られている(第五条)。これを裏からいえば、学術会議は、政治の方向に影響を与えるような権限、つまり、政治にくちばしを入れうるような権限は与えられていない。ところが、学術会議は、実際には、例えば、ベトナム戦争での核兵器使用の反対声明を行なったり(第四八回総会)、研究成果の軍事転用を防止する声明を出したり(第五一回総会)、佐世保異常放射能事件シンポジウムを開いて「佐世保事件は政府が学術会議の勧告を無視して米原潜の寄港を認めたために起った」と宣伝したり(昭和四三年六月一三日)、いわゆる大学正常化に関する文部事務次官通達について抗議の声明を出したり(第五三回総会)、大学運営臨時措置法案について「この法案は大学の存立を危うくするばかりでなく社会の進展と国民の将来に重大な影響を及ぼすのでただちに撤回することを強く要望する」との申入れをしたり(第五四回総会)、さらに同法が施行されそうになると「措置法が国会で強行採決されたが、大学紛争の解決は大学の根本的改革なしにはできない。全国の大学及び科学者は学術会議が第五四回総会で提唱した大学問題解決の三原則(自主・民主・連携交流)を貫くことを期待する」という趣旨の声明を出したり、さらには「一日も早く政府がジュネーブ議定書を批准するように」との化学・生物兵器の禁止に関する勧告を行なったり(以上第五五回総会)している。これではまさしく学術会議は、社・共両党の別働隊であり、政治的圧力団体であるといわれても仕方あるまい。

このような現状に対して、学術会議無用論や廃止論が起こるのはむしろ当然である。国費を使って圧力団体を養成する必要はさらさらない。日本学術会議法の廃止が真剣に考えられてもよいのはあるまいか。

(赤い巨塔 ―「学者の国会」日本学術会議の内幕 時事問題研究所編,1970年より)

 

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